コロナに奪われた慰霊の旅 ケーブルカー事故、父の無念
上田真仁
オーストリアのアルプスで155人が死亡したケーブルカー火災事故から11日で20年となる。犠牲になった日本人10人の中には、福島県の中学校のスキー部員もいた。遺族は今秋、19年ぶりに事故現場を訪れようと計画したが、コロナ禍に阻まれ、「仕方ないが残念だ」とやるせない思いを抱く。
10月中旬、福島県猪苗代(いなわしろ)町の佐瀬倉寿(さぜそうじゅ)さん(66)の自宅に、例年と同じくオーストリアから慰霊祭の案内状が届いた。事故で中学3年生だった長男の智寿(ともひさ)さん(当時14)を亡くした。倉寿さんは「この時期になると智寿のことを思い、気持ちがナーバスになる」と話した。
事故は2000年11月11日にオーストリア有数のスキーリゾート地で発生。トンネル内を走行中のケーブルカーが炎上し、逃げ遅れた多くの人が亡くなった。その中にスキー合宿に参加中だった智寿さんがいた。
自慢の息子だった。スキーで…
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