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No.154

ビタミンKシロップは何のため?

子ども・育児・小児科・産婦人科 | 2011年04月発信

生後間もない新生児は、

  • ビタミンKの経胎盤移行性が悪いため出生時の蓄積量が少ないこと
  • 出生直後の腸内細菌叢は形成途上にあり腸内細菌が合成するビタミンKが少ないこと
  • 哺乳量が不十分で乳汁からのビタミンK摂取が少ないことなどの理由から ビタミンKが不足することがあります。

特に、母乳を飲んでいる赤ちゃんは、腸内細菌叢がビフィズス菌主体でビタミンK産生腸内細菌が少ないためビタミンKが不足しやすくなります。ビタミンKが不足すると血液を固まらせる働きが悪くなるため、出血しやすくなります。これをビタミンK欠乏症と呼びます。
ビタミンK欠乏症は、生後3週間~2ヶ月で突然の頭蓋内出血で発症します。突然吐き出したり、意識がなくなり、痙攣がみられることもあります。とても重篤で治療しても後遺症を残すことが少なくありません。
したがって、ビタミンK欠乏による出血症は治療より予防することがとても大切です。
このために、ビタミンKの補充を行うのです。すなわちビタミンK欠乏による出血を防ぐために、ビタミンKシロップを飲むのです。特に、頭蓋内出血を防ぐためにきちんと飲みましょう。
もちろん、母乳をやめる必要はありません。厚生省心身障害研究班で示されている予防対策案の、出生当日、産科退院時、1ヶ月健診時にそれぞれ2㎎(シロップ1ml)経口投与する、いわゆる“2・2・2方式”が普及しています。
またお母さんがビタミンKをたくさん摂取すると、母乳中のビタミンKが増えることが知られています。
ビタミンK産生菌である納豆菌を含む納豆や、緑黄色野菜などをとることも心がけるとよいでしょう。