世界で2億人に健康リスク 10大汚染地点を公表
【ジュネーブ=共同】国際的な環境保護団体ブラックスミス研究所(本部ニューヨーク)などは12日までに、旧ソ連チェルノブイリ原発事故の放射性物質による汚染が続くウクライナのチェルノブイリなど、有害物質による環境汚染が最も深刻な世界の10地点を選定、公表した。
途上国を中心に推定2億人以上が健康リスクにさらされているとも指摘、状況改善を急ぐよう求めている。
低中所得国を対象に選んだことなどから東京電力福島第1原発事故によって放射線量が高くなった地域は10地点に含まれなかったが、報告書は特記事項として「発生から2年以上たった現在も、周辺や太平洋への放射性物質漏れが続いている」と指摘した。
10地点はチェルノブイリのほか、冷戦期に化学兵器生産基地だったロシアのジェルジンスク、子供の鉛中毒が深刻なアフリカ南部ザンビアのカブウェなど。地域別ではアフリカ3、旧ソ連3、アジア3、南米1。
公表したのは同研究所と非政府組織(NGO)グリーンクロス・スイス(本部スイス・チューリヒ)。世界49カ国の地点から汚染の深刻さや健康被害の程度などの観点で検討して選んだ。
アジアでは、小規模な金採掘場で使われる水銀の汚染が深刻なインドネシア・カリマンタンや、皮革工場の廃液で水が汚染されているバングラデシュのハザリバーグなどが選ばれた。
アフリカ・ガーナのアグボグブロシエでは、欧州などから運ばれた電子機器の廃棄処理場で燃やした部品から出る重金属の汚染を指摘した。
同様の報告書は2006、07年にも公表され、チェルノブイリとカブウェ、ジェルジンスクのほか、重金属工場から排出される二酸化硫黄などによる汚染が深刻なロシアのノリリスク以外は今回新たに選ばれた。同研究所は「問題なのは決してこの10地点だけではない」と強調している。