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思春期早発症

最終更新日:2019年11月9日

思春期とは何でしょうか?

思春期とは、子どもが徐々に大人の体に変化していく過程のことです。すなわち、女の子は10歳頃から、男の子は12歳頃から二次性徴と呼ばれる体の変化が起き、数年かけて大人の体になります。当然ですが、男の子と女の子の思春期におこる体の変化は大きく異なります。男の子の思春期の変化の代表は、変声、ひげがはえる、などですし、女の子の思春期の変化の代表は、乳房の腫大、月経の発来などです。ただし、身長が著しく伸びるという変化は男の子女の子に共通しておこります。

思春期早発症とはどんな病気でしょうか?

通常の時期よりも早くに(通常2~3年以上早くに)思春期がはじまってしまう病気です。ほとんどは、年齢が幼いにも関わらず、正常の思春期と同じ変化がおこってしまうタイプです(特発性ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)依存性思春期早発症とよびます)。思春期早発症では以下の3つの問題が生じることがあります。(1)早期に大人の体になってしまうために、一時的には身長が伸びたとしてもそれ以上に成長することができず、大人になった時には低身長となってしまいます。(2)相対的に若い年齢で思春期の体の変化がおきるため、本人の戸惑い、周囲からの嫌がらせなどの心理社会的問題が起きることがあります。(3)稀にですが、思春期早発症を来す原因(器質的疾患と呼びます)があると、思春期早発症以外の問題を起こすこともあります。

思春期早発症の原因は何でしょうか?

女児に多い特発性GnRH依存性思春期早発症の原因はわかっていません。一方男児の思春期早発症では脳腫瘍などの器質的疾患が存在することが多いです。

思春期早発症ではどんな症状がでて、どのように診断しますか?

日本人の平均と比較して、典型的には2-3年以上早い思春期徴候(男児なら精巣発育、陰毛発生、腋毛、ひげや声変わり、女児なら乳房発育、陰毛発生、月経)が2つ以上存在する、あるいは早期の思春期徴候が1つの場合でも、年齢不相応な身長の著しい伸び、あるいは骨成熟の明らかな進みなどがあることで診断します(表参照)。

思春期早発症はどのようにして治療しますか?

特発性GnRH依存性思春期早発症では、LH-RHアナログという薬を月に1回、病院で皮下注射します。この治療により、思春期の進行をゆっくりにすることができます。結果的に、身長が低めのうちに大人の体になることを防ぎます。身長が伸びることのできる期間を長くすることで大人になったときの身長が著しく低くならないようにします。さらに思春期の進行に伴う本人や家族の心理社会的問題を防ぎます。
いつまで治療を継続するかは主治医の先生とよく相談してください。

脳腫瘍などの原因(器質的疾患)が存在する場合には、その原因に対する治療(手術など)をします。

 

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