「ダメなの分かってたけど…」違反相次ぐ電動キックボード、都内で初の大規模指導

2021年9月28日 11時59分
 警視庁は28日、東京都内で初となる電動キックボードの利用者を対象にした大規模な交通安全指導を渋谷区の明治通りで実施した。30日までの秋の全国交通安全運動に合わせた取り組み。電動キックボードの多くは原動機付き自転車に該当するが、無免許や歩道を走行する道路交通法違反や事故が相次いでいる。重大事故につながる恐れがあるため、利用者にルールの順守を呼び掛けた。(井上真典)

ヘルメットをかぶらずナンバーの付いていない電動キックボードを利用していた男性に声をかける警察官=28日午前、東京都渋谷区で

◆ナンバー取り付け、免許が必要

 「電動キックボードは、歩道通行禁止」。明治通りでは、注意を促す電光掲示板付きの警察車両の近くで、渋谷署員らが違反者らに声を掛けた。午前8時から2時間の活動で、6台の違反を確認した。
 ナンバーやヘルメットをつけず歩道を走っていた70代の男性は「駄目なのは分かっていたけど、便利なので乗っていた」と署員に弁解していたという。
 電動キックボードは運転免許やナンバーの取り付け、サイドミラーや前照灯の設置など保安基準を満たして利用する必要があるが、違反が横行している。警視庁は8月末までに、口頭での注意指導や警告を81件実施した。

◆一筋縄でいかない取り締まり

 また、都内では年初から27日までに、電動キックボード絡みで、重傷事故を含む12件の人身事故、31件の物損事故が起きている。

ヘルメットをかぶらずナンバーの付いていない電動キックボードを利用していた男性に声をかける警察官

 ただ、取り締まりは一筋縄ではいかない。電動キックボードは速度が速く、警察官が声を掛けて停車させるのが容易ではない。さらに、電動モーターの出力が0・6キロワット以下なら原付きで、0・6キロワットを上回ると自動二輪に該当し、反則金も変わる。車両の規格を調べる必要があり、科学捜査研究所(科捜研)に持ち込むため、手間と時間がかかる。
 違反と事故を防ぐため、大阪府警は昨年10月、違反者に警告書を渡す独自の取り組みを始めた。今年は8月末までに256件の警告を出し、警告2回以上の違反者に軽微な交通違反に科す交通反則告知書(青切符)を切ってきた。取り締まる際も違反者に逃げられないように私服警察官が声を掛けている。府警の担当者は「一定の効果が出ている」と話す。

警視庁による電動キックボード違反者の取り締まり

 警視庁は今回、あくまで警告指導にとどめたが、今後は青切符で取り締まる可能性もある。警視庁幹部は「今回は原付きであると認識してもらうのが目的だった。今後、事故が増えれば対策を強化していきたい」と話した。

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