傷の治し方
元気なう
[傷の治し方](1)自然治癒力引き出す
転んで膝をすりむいたり、包丁で指を切ったり。日常生活でけがをしてしまうことは少なくない。ちょっとしたけがなら、家庭で対処できるが、目立つような傷痕が残っては大変だ。傷はなるべくきれいに治したい。
東京医科大学形成外科教授の松村一さんは「早く治すことが何より大事」と強調する。そのためには、まず傷についての正しい知識を身に付けたい。傷はどのように治るのだろうか。
人の体には「自然治癒力」がある。傷ができれば、様々な細胞が集まって働いてくれる。
例えば、皮膚が傷ついた場合、血が出ていれば、血液に含まれる血小板が傷口に集まり、血の塊(血栓)を作って止める。細菌がいれば、白血球が攻撃し、マクロファージと呼ばれる細胞は、傷ついて死んだ細胞を食べてくれる。かさぶたが傷の表面にできることもあり、細菌が体内に入り込むことなどを防ぐ役割を果たす。
傷口の修復には、線維芽細胞が活躍する。
早く治すには、こうした細胞が活発に働けるような環境を作り、自然治癒力を最大限に引き出すことが重要だ。細菌を増殖させないとともに、傷口は乾燥させず、湿った状況を保てるように心がけたい。こうした注意点は、次回で改めて紹介する。
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