重機に関する資格を徹底解説!取得方法や費用を解説
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重機に関する資格を徹底解説!取得方法や費用を解説

2021年7月6日

1972年10月に施行した労働安全衛生法の規定により、重機・建機を運転するためには免許や資格が必要になります。重機の運転は危険な作業が伴うことから、労働災害防止のために技能講習などを修了することが規定されています。
万が一、工事現場や公道などで免許や資格の不保持者が運転・操作を行うと罰則を科せられます。
その罰則とは、以下になります。
・作業者:50万円以下の罰金
・事業主:6か月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金

重機・建機の免許や資格は、重機・建機メーカーの教習所や業界団体の技能講習会において、講習を受講し試験に合格することにより取得することができます。

そこで本記事では、各重機・建機の取得方法・取得期間・取得費用について解説します。
免許の種類によっても取得方法や取得期間、取得費用が異なるためぜひ最後までご覧ください。

 

車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み用及び掘削用)

パワーショベル・トラクターショベル・スクレーパー・ブルドーザー・バケット掘削機などを運転する場合、「車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・詰込み用及び掘削用)」の受講が必要となります。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科・実技講習:最長計35時間
③ 免許取得試験の完了
④ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、最長38時間(5日間)を要します。指定された日程において、連続5日間の受講が必要で、受講日程の中に土日を含めるケースもあります。
なお、優遇される受講条件(大型特殊免許を取得)に該当している場合は14時間(2日間)で取得することが可能です。

 

取得にかかる費用

取得費用は、受講する教習所や取得期間により異なります。取得期間による取得費用の目安を下表にまとめましたのでご確認ください。

必要講習期間 受講費用(目安)
14時間(2日間) 18,000円~23,000円
38時間(5日間) 75,000円~90,000円

 

車両系建設機械運転技能講習(解体用)

ブレーカー・解体用つかみ機・コンクリート圧砕機・鉄骨切断機など「解体用アタッチメント」をつけて重機を運転する場合、「車両系建設機械運転技能講習(解体用)」の受講が必要となります。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科・実技講習:1日
③ 免許取得試験の完了
④ 免許証(修了証)取得

なお、受講資格として、事前に「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」を修了する必要があります。

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、1日を要します。

 

取得にかかる費用

取得費用は受講する教習所や取得期間により異なりますが、目安として2万円前後となります。

 

車両系建設機械運転技能講習(基礎工事用)

杭打機・杭抜き機・アースドリル・ペーパードレーンマシンなどを運転する場合、「車両系建設機械運転技能講習(基礎工事用)」の受講が必要となります。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科・実技講習:最長計39時間
③ 免許取得試験の完了
④ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、最長計39時間(5日間)を要します。
なお、優遇される受講条件として「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」などを有している場合は25時間(4日間)となり、「移動式クレーン運転士免許」を有している場合は9時間(2日間)となります。

 

取得にかかる費用

取得費用は受講する教習所や取得期間により異なります。取得期間による取得費用の目安を下表にまとめましたのでご確認ください。

必要講習期間 受講費用(目安)
9時間(2日間) 18,000円~23,000円
25時間(4日間) 64,000円~78,000円
39時間(5日間) 75,000円~90,000円

 

不整地運搬車運転技能講習

最大積載量:1トン以上のクローラー式不整地運搬車やタイヤ式不整地運搬車などを運転する場合、「不整地運搬車運転技能講習の受講が必要となります。

取得方法

運転免許証があれば受講可能です。取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科・実技講習:計17時間
③ 免許取得試験の完了
④ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、計17時間(3日間)を要します。

 

取得にかかる費用

取得費用は受講する教習所や取得期間により異なりますが、目安として50,000円~63,000円となります。

 

高所作業車運転技能講習

高所での作業はリスクが伴いますので、高所作業車を運転するには専門の資格・免許が必要になります。
労働安全衛生法61条により、作業床の高さが10m以上の高所作業車を運転する場合、「高所作業車運転技能講習修了者」の資格が必要になります。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。なお、受講資格は満18歳以上です。
① 教習所へ申込
② 学科講習:計11時間・学科試験
③ 実技講習:計6時間・実技試験
④ 免許取得試験の完了:学科試験・実技試験の両方とも合格が条件
⑤ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、計17時間(3日間)を要し、学科講習には計11時間を要します。
・高所作業車の作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識:5時間
・原動機に関する知識:3時間
・高所作業車の運転に必要な一般的事項に関する知識:2時間
・関係法令:1時間
・学科試験

また、実技講習には計6時間を要します。
・高所作業車の作業のための装置の操作:6時間
・実技試験

なお、優遇される受講条件として、運転免許証がある場合14時間(2日間)となります。

 

取得にかかる費用

受講費用は教習所により異なりますが、35,000円~45,000円ほどです。

 

ショベルローダー等運転技能講習

最大荷重:1トン以上のショベルローダー・フォークローダーを運転する場合、「ショベルローダー等運転技能講習」を受講する必要があります。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科・実技講習:最長計35時間
③ 免許取得試験の完了
④ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、最長計35時間(4日間)を要します。
なお、優遇される受講条件として、運転免許証がある場合は31時間(4日間)となり、「ショベルローダー等の運転業務に関する特別教育」修了後に運転業務経験が3か月以上ある場合は11時間(2日間)となります。

 

取得にかかる費用

取得費用は受講する教習所や取得期間により異なります。取得期間による取得費用の目安を下表にまとめましたのでご確認ください。

必要講習期間 受講費用(目安)
11時間 12,000円~24,000円
31時間 36,000円~42,000円
35時間 41,000円~45,000円

 

フォークリフト運転技能講習

フォークリフト技能講習は、労働安全衛生法によって規定されています。
「フォークリフト運転技能講習終了証(以下、フォークリフト免許)」を取得することにより、作業現場内で運転することができます。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科講習・学科試験
③ 実技講習・実技試験
④ 免許取得試験の完了:学科試験・実技試験の両方とも合格が条件
⑤ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、最短2日間、最長5日間を要します。
フォークリフト免許取得にかかる期間は、現時点での保有免許の種類によって異なります。保有免許種類ごとの講習時間の目安を下表にまとめました。

保有免許の種類 必要講習時間
大型特殊免許保持者 11時間(2日間)
普通・大型免許保持者及び
1t未満フォークリフト3か月以上経験者
11時間(2日間)
普通免許無し
1t未満フォークリフト6か月以上経験者
15時間(3日間)
普通免許保持者、現場経験無し 31時間(5日間)
普通免許無し、現場経験無し 35時間(5日間)

 
講習は連日受講する必要はありません。平日に週をまたいで受講することも可能ですし、土日だけ受講することも可能となっています。

 

取得にかかる費用

教習所における受講費用は、上表で解説した必要講習時間により異なります。必要講習時間ごとの受講費用を下表にまとめましたのでご確認ください。

必要講習期間 受講費用(目安)
11時間 12,000円~24,000円
15時間 21,000円~23,000円
31時間 36,000円~42,000円
35時間 41,000円~45,000円

 

小型移動式クレーン運転技能講習

小型移動式クレーンは、吊り上げ可能な荷重が1トン~5トン未満の移動式クレーンを指します。移動式クレーン(吊り上げ荷重:4トン以上)は、クレーン検査の義務(月例点検・年次点検・クレーン継続検査・始業前点検)があります。したがって、小型移動式クレーンは移動式クレーンの免許取得よりも簡単になりますので、先行して修了する人も多いです。

取得方法

取得方法の手順は主に以下の通りになります。
① 教習所へ申込
② 学科・実技講習:計20時間
③ 免許取得試験の完了:修了試験での合格が条件
④ 免許証(修了証)取得

 

取得にかかる期間

教習所での学科講習と実技講習を合わせ、計20時間(3日間)を要し、学科講習には計13時間を要します。
・クレーンに関する知識、原動機や電気に関する知識、関連力学、関連法令など

また、実技講習に計7時間を要します。
・クレーンの運転、運転に必要な合図など

 

取得にかかる費用

教習所における受講費用は保有する資格によっても異なりますが、テキスト代を含めて3万円前後となっています。

 

まとめ

以上、各重機・建機の取得方法・取得期間・取得費用について解説しました。
各重機・建機の講習を受講し「修了証」を取得できれば、各工事現場において重機・建機を運転・作業することができます。ただし、重機・建機を一般道路(公道)にて運転する場合には、別途「大型特殊免許」が必要になりますので、注意が必要です。
建設業界における労働人口の減少や高齢化が進む中、重機・建機のオペレーターに対する需要は益々高まっています。建設現場において職人としてのキャリアアップやスキルアップを図りたい方は、一つの手段として重機・建機に関する講習の「修了証」を取得されることをオススメいたします。

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